このたび、「カンボジア アンコール遺跡救済日本政府チーム協力」の30周年を記念した記念書籍をお届けいただきました。弊社は、1997年より日本国政府アンコール遺跡救済チームに参画し、修復用資材の供給および現地での技術指導に携わって参りました。弊社の技術を評価いただき関わることができたこと、そして多くの関係企業・研究機関との密な連携により、この長期プロジェクトを支えてこられたことを深く誇りに思っております。
【他の支援企業・団体】 ※敬称略/順不同/企業名や団体名は当時のものを記載
株式会社大林組、株式会社クボタ建設、株式会社鴻池組、佐藤工業株式会社、株式会社間組、前田建設工業株式会社、アップルコンピューター株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社トーメン、丸紅ケミカル株式会社、Broncolor、富士写真フィルム株式会社、株式会社ニコン、ニコンカメラ販売株式会社、コメット株式会社、大日本印刷株式会社、株式会社西東京商事、ソニー株式会社、株式会社スタジオBAKU、CULTURE MOTION"Appassionato"、コニシ株式会社、ショーボンド化学株式会社、三共株式会社、アサヒボンド工業株式会社、アサヒボンド工業会、株式会社アジケン、株式会社INAX、宇部興産株式会社、恒和化学工業株式会社、全国ビルリフォーム協同組合連合会、大日本インキ化学工業株式会社、株式会社東邦アースティック、日本建築仕上材工業会、日本樹脂施工協同組合、日本接着剤工業会、太平洋セメント株式会社、株式会社文化財保存計画協会、株式会社MUSA研究所、レオン工業株式会社、日東電工株式会社、ライオン株式会社、信越化学工業株式会社、三菱マテリアル株式会社
引用: 中川 武(2024)「バイヨン」中央公論美術出版

遺跡修復工事参画の経緯と概要
ユネスコに設置された文化遺産保存日本信託基金を通じて、日本国政府アンコール遺跡救済チーム(以下JSA)は、保存修復事業を1994年11月より開始しました。その2年後(1996年)、エポキシ工業会、株式会社コニシの技術担当喜多氏が国の要請で現地を訪れた際、弊社のNSハイフレックス及びNSボンドセメントを持参していただき、テストの結果を評価され、エポキシ工業会にかわり現地訪問要請を受けたのが始まりとなります。
当時の現地では、各ゼネコンが1年おきに交代で担当を受け持ち、大きな広場で解体された部材がきれいに整理され、わかりやすく番号が入っているのに対し、他国の工事区域ではコンクリートの土間に部材が置かれているのみであったり、部材を積み木のように積んでいる状況など、日本の現場管理と施工技術の素晴らしさが際立っておりました。
また当時の遺跡はポルポト派の危険に晒されており、前後を軍隊に護衛されながらの遺跡視察でもありました。そのような状況の中、弊社は製品の無償支給と、2年間のうち8ヶ月間、技術部員を派遣し職人への施工指導を行いました。
訪問記
2004年に10年間におよぶJSAの保存修復事業が完了し、その報告とJICAによるバイヨン寺院南蔵の修復工事(5年間)への協力要請のため、JSA団長中川武氏が弊社に来訪された際、「工事期間中に一度現地視察においでください」とのお話を頂きました。タイ・バンコクの内紛の状況を考慮しながら、ようやく2010年9月に訪問することができました。この視察は、弊社製品に携わる原料メーカー、代理店の方を合わせ7名での視察訪問となり、これまでの活動内容やカンボジアの文化について説明していただきました。
これより10年ほど前の2000年頃に日本が柱を新たに補強した北経蔵は、2010年9月の訪問視察時においても補修・補強箇所の老朽・劣化などの問題は見られませんでした。また、長期に渡って現地で活動されてきたスタッフのご苦労は計り知れないものであり、弊社がこのプロジェクトに間接的(材料協力)にでも携ることができた事に、大きな喜びと誇りを感じることができました。
訪問後の感想
故 第4代 代表取締役社長 裏地 康宏
このプロジェクトに関わることができたのは、弊社の開発力・技術力を信頼していただいた方々のおかげです。
今後も、技術と信頼を礎に、新たな価値を創造し続けてまいります。